感謝しかない

柚木麻子さんの『ナイルパーチの女子会』。

単行本の時からずっと気になっていたのを、文庫になった今、やっと読了。

 

いや、これ、すごいお話だ。

読んで良かった、本当に。

 

共感って、とても気持ち良い。それって、誰かと一緒になれたような、心が通じた様な感覚がするからだろうか。

私も例に漏れず、共感、が大好き。

親密な人と共感ができないと、嫌という考えだったかもしれない。

 

『わかり合えなくてもいいって大事』

『わかり合わなきゃ、共感できなきゃということから失うものって大きい』

これは作中ではなく、解説の重松清さんが紹介している、雑誌 ダ・ヴィンチの柚木麻子さんとジェーン・スーさんの対談の中での言葉。

 

このことが、この作品の中で大事なエッセンスのひとつなのです。

本当に、心臓に刻みつけたいような言葉。

私、確実に、間違いなく、共感できない、ということから大切な人のことを傷つけてしまったことがあると思うのです。

家族、友達、彼氏。

 

大切だからこそ、濃厚な関係であるからこそ、同じ価値観、全てに共感できなきゃ、くらい思っていたかもしれないのです。

共感できない時、わかり合えない時、大切な人の感覚をなじったり、否定したり、きっと、いや、間違いなくしてきてしまったと思う。

 

Mr.Childrenの『掌』という曲が、ふと頭をよぎった。

すごく好きな歌、感動してきた歌なのに、私は全然、この歌から学べていなかったじゃない。

『解り合えたふりしたって 僕らは違った個体で だけどひとつになりたくて 暗闇でもがいて もがいている』

『君は君で 僕は僕 そんな当たり前のこと 何でこんなにも簡単に僕ら 見失ってしまえるんだろう』

『ひとつにならなくていいよ 認め合うことができればさ もちろん投げやりじゃなくて 認め合うことができるから

ひとつにならなくていいよ 価値観も理念も宗教もさ

ひとつにならなくていいよ 認め合うことができるから それで素晴らしい』

 

今まで傷つけてしまった大切な人。本当にごめんなさい。でも、それでも今も側にいてくれている人。本当にありがとう。こんなところで謝ったり、感謝している場合ではないんだけれども。

突然謝ったり感謝しても驚かしてしまいそうだから、というのは逃げているだけかもしれないけれど。

これからは、大切な人の考え方、いや、大切な人以外でも、いろんな人の、多種多様な考えを否定しないぞ。その人、として受け止める。大切な人と考えが合わなくても、寄り添う、というようなイメージでいたい。

 

本当に、ナイルパーチの女子会は、頭をガーンと殴られたような衝撃だった。出会えて良かった。