ノスタルジーのまち

最近2回ほど、大学生の頃よく訪れたまちへ行く機会があった。

大学生の頃、と言ってもたった2年ばかり前のことなんだけれど。
わたしを取り巻く環境はガラリと変わり、あの頃の自分が今のわたしを見たら顔をしかめるかもしれない。

まちを訪れると、たった数年前ではあるんだけれど忘れかけていた当時の気持ちを思い出し、ノスタルジーにつぶされそうになった。

しかし、大学生の頃の記憶がまぶしい、というほど輝いた思い出ばかりがあるわけじゃない。
サークルをきちんとしていた訳でもなく、授業もさぼりがちであった。大学の沿線の駅をあちこち一人でめぐり、カフェでぼうっとしていることも少なくなかった。自分はこれからどうなるんだろうと期待ばかりし、あれこれ手を出してみてはすぐやめたり。人間関係を面倒くさがったり。

それでも、ごくごく少なくても、こんなわたしととても仲良くしてくれた子もいる。
当時のちょっぴり孤独な気持ちを思い出しつつも、友人と過ごした楽しく、少しばかばかしく、でもあの時にしかつくれなかったであろう思い出がよみがえる。


このまちは、いつ来ても人が溢れかえっている。
わたしとは接点がなく、きっとこれからも知り合うことはないであろう、このまちにいる沢山の人々。
この人々のひとりひとりにも、このまちに関する思い出、そして学生時代や社会人時代など、その時々に欠くことのできない、思い出をつくりあった大切な人がいるんだろうと思うと、とても不思議で、温かい気持ちに包まれた。

ある一定の時期だけの関係に結局なってしまってもいい。自分の今までを振り返った時、その時々に大切に思える人がいるのは幸せだ。
わたしも、きっとこれからまた新しい友人関係ができるだろう。
それを楽しみに、まわりの人と楽しく大切に日々を重ねていきたい。